戦乱と知略

モクジ

「こんな時代だからどっかで雇ってもらって歴史上の人物になるぜ!」
「それを初対面の人間に言うんだ……」
「貴方は誰ですか、オレはシュクと申します」
「僕は故郷の老母にやっくんと呼ばれています」
「聞いてないよ」
「兎に角何になりたくて士官したいんですか?」
「第一志望は軍師だなー」
「軍師かあ……」
「できたらオレの噂を聞いた御偉方が留守中に家に来るとかそういう展開が良いんだけれどね」
「そして何事もなく終わる、と………」
「終わらせないでー」
「噂にならなきゃただの農民ですよ。農業とか家の仕事をしてなきゃニート」
「そんな! 農業なんてやったことないのに!!」
「そういや、第二希望とかあるんですか?」
「智将」
「恥将、稚将、いや痴将……。なりたいんですか?」
「うん」
「そうか………。今回は士官しにきたんだから、こう、無いんですか? 戦争中なんだから、もうちょっと野望があってもいいはずだし」
「……………偉人になりたい」
「?」
「シュクに勝てない、うがー!! ってなる人がいたらいいなあ」
「それが原因で死に至らせるんですね、この呪術師!」
「そこまで言って無い!!」
「ここで僕が通りすがりの女の子に教えてもらった恋のおまじないを教えましょう。浮気した彼氏が浮気相手と居る家に、友人引き連れて夜なかに向かい、家の壁を叩いたり銅鑼とか突いたりするんです。そうすると相手もやり返してくるんです。すごいですよね」
「オレ、呪術師決定!?」
「レパートリーが増えたところで、貴方、学はあるんですか?」
「学?」
「師匠についたり独学で何か学んだとか。思想家や戦術の本を読んだとか、そういうのです」
「今なくとも、いずれ花開くさ!!」
「じゃあいい作戦とか無いんですか?」
「オレのインテリヂエンスっぷりを見せてやるぜい!」
「発音が悪いなあ」
「必殺の陣があるんだよ。高いところに陣を敷けば必ず勝てる!!」
「はい死亡フラグー。上司に斬られます。あなたはしんでしまいましたー」
「え、なんだよ。死なないよ」
『ヤク様、どこですか?』
「はいはい今行きまーす」
「えっ!?」
「じゃあガンバ」
「ヤク将軍と言えば、国を背負って立つ智将じゃないか……。おどろいた」
モクジ
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